会長挨拶

投影法の可能性を更に追求しましょう

 森田美弥子先生の後を受けまして、第8期執行部で会長を務めることになりました小川俊樹です。どうぞよろしくお願い致します。

 最近精神科医療の現場でロールシャッハ法の採用が少なくなってきているとの話を聞きます。以前から、ロールシャッハ法は信頼性や妥当性といった心理測定論的に問題があるとの批判がありました。しかしながら今日、たとえばMeyerやMihuraらのメタ分析研究でそれらの批判の誤りが指摘されています。むしろ、精神科医療における診断がDSMに代表される操作的診断に変わってきたことや、さまざまな画像診断や生化学的診断の可能性が増してきたことによるのではないでしょうか。以前、Weinerは心理診断の危機という表現をしてロールシャッハ法の衰退を憂慮しておりましたが、むしろこれからは心理診断よりも心理アセスメントとしての貢献が大いに期待されるのではないでしょうか。個性尊重や共生社会が叫ばれる今日、心理アセスメントへの期待は高まってきていると思います。心理的症状を通しての診断への貢献ももちろんですが、そのような症状を持つ人間理解という観点からもロールシャッハ法をはじめとする投影法の役割は大切ではないかと考えております。

 ロールシャッハ法は心理臨床活動の重要な柱ではありますが、人間理解という観点からは臨床以外の面でも大いに期待できる余地があると思います。Klopferや Beckなどのロールシャッハ学界の巨人たちは、その臨床の出発点を児童臨床においておりました。また、阪大法を進めた辻悟先生も精神科臨床とともに、かつて児童のロールシャッハ研究に熱心に取り組んでおられました。ロールシャッハ法は発達心理学の一研究法ともなり得るのではないかと考えています。さらに児童の研究と同様に、今日ではほとんど発表を見ることがなくなった研究として、文化人類学的研究があります。日本では藤岡喜愛先生がアジアの各地やフランスの農村でロールシャッハ法を実施しておられましたし、名大法の生みの親であるDeVosは文化人類学者でした。これらの領域でのロールシャッハ法研究が期待されます。そして近年は神経心理学的研究も活発となってきており、この領域での新しい知見はこれまでのロールシャッハ研究を豊かなものにしてくれています。

 ロールシャッハ法について述べてきましたが、本学会は学会名にありますように、その他の投影法をも含む学会です。ロールシャッハ図版のインクブロットが被験者にさまざまな多くのイメージ(反応)を喚起するように、投影法は人間理解の一方法として多くの可能性を秘めているようです。本学会が投影法の有する可能性を引き出すことができるよう、努力していきたいと思います。

会長 小川俊樹

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