日本ロールシャッハ学会
The Japanese Society for the Rorschach and projective Methods

オンライン上でのロールシャッハ法等の取り扱い

オンライン上でのロールシャッハ法等の取り扱い

オンライン上でのロールシャッハ法等の取り扱いに関するガイドライン

日本ロールシャッハ学会倫理委員会

2020 年初頭より始まった新型コロナウィルス感染の拡大に伴い、人が集まることを避けるために様々な会議、大学及び大学院や団体において、授業や研修会などをオンライン上にて実施する頻度が急速に高まっている。その中で心理アセスメント上、重要な役割を担っている心理検査やその道具は、著作権のみならず、高度に倫理的な守秘に関する配慮が肝要である。中でもロールシャッハ法は厳正に実施されることが対象者の適正な理解に資すると考えられるため、オンライン上での扱いについてのガイドラインを設けるものである。

  1. オンライン上のロールシャッハ法等の実施について
    1. 臨床的に、あるいは学修等のために、オンラインによる双方向でロールシャッハ法等の心理検査を実施することは原則として行わない。
    2. ロールシャッハ法等の心理検査刺激をzoom等のオンラインに提示しないこと。提示が必要不可欠な場合は不特定多数に伝わらない手段を用いるか、あるいは模擬刺激を作成して用いること。またそれらを録画、録音しないこととする。
  2. 大学、大学院、専門的な学校等においての講義、授業及び心理臨床の専門家や大学院生等を含む研修会での使用について
    1. ロールシャッハ法の図版や、それに相当する検査道具をzoom等のオンラインに提示しないこと。動画や録音を含む教材なども同様である。
    2. ロールシャッハ法の図版などを相手に提示する必要のあるときは、模擬図版を使用するなどの配慮をする。あるいは、反応領域の確認のために、領域番号や記号などを使用するなどの工夫をすること。
    3. 対象者個人が特定されないように配慮することはもちろん、臨床事例の守秘については特別に配慮し、オンライン通信時の環境などにも留意することとする。
  3. 学会発表等について
    1. オンライン上で、臨床事例などの事例研究においてロールシャッハ法の詳しい反応内容を含む検査結果を取り扱う場合には、対象者にオンラインで扱う事への許可を得るものとする。
    2. 複数事例を扱う場合に、形式分析などの資料については通常の対象者の同意のみで良い。

付記:ロールシャッハ法について、オンライン上での不適切な情報が過多となっている現状を鑑み、検査者は対象者の反応や言動にそれらの影響が見受けられかどうかについても配慮する。場合によっては対象者に確認し、検査結果についてその影響を考慮することとする。